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大阪地方裁判所 平成6年(わ)2782号 判決

裁判所書記官

木村守夫

本籍

大阪府藤井寺市春日丘二丁目九番

住居

同府同市春日丘二丁目九番四号

原皮販売業

前田安隆こと上田安隆

昭和二年一一月一日生

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金三五〇〇万円に処する。

右の罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人は、大阪市浪速区敷津西二丁目一〇番一二号において、「前田良商店」の名称で原皮販売業を営むものであるが、自己の所得税を免れようと企て、

第一  平成二年分の総所得金額が、別紙1の修正損益計算書記載のとおり、三億一九五五万一六二一円で、これに対する所得税額が、別紙3の税額計算書記載のとおり、一億五四九七万九五〇〇円であるにもかかわらず、売上の一部を除外するほか、架空仕入を計上するなどの不正の行為により、その所得の一部を秘匿した上、平成三年三月一二日、大阪市浪速区難波中三丁目一三番所在の所轄浪速税務署において、同税務署長に対し、平成二年分の総所得金額が、別紙1の修正損益計算書記載のとおり、三一二二万九二三一円で、これに対する所得税額が、別紙3の税額計算書記載のとおり、一〇八一万八〇〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定の申告期限を徒過させ、もって不正の行為により、別紙3の税額計算書記載のとおり、同年分の所得税一億四四一六万一五〇〇円を免れた、

第二  平成三年分の総所得金額が、別紙2の修正損益計算書記載のとおり、六六九九万七一八四円で、これに対する所得税額が、別紙4の税額計算書記載のとおり、二八九一万五五〇〇円であるにもかかわらず、前同様の不正の行為により、その所得の一部を秘匿した上、平成四年三月七日、前記浪速税務署において、同税務署長に対し、平成三年分の総所得金額が、別紙2の修正損益計算書記載のとおり、三〇一二万〇一八五円で、これに対する所得税額が、別紙4の税額計算書記載のとおり、一〇四七万七〇〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定の申告期限を徒過させ、もって不正の行為により、別紙4の税額計算書記載のとおり、同年分の所得税一八四三万八五〇〇円を免れた。

(証拠)( )内の漢数字は検察官請求番号を示す。

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書及び検察官に対する供述調書

一  村島長憲、小寺英夫、酒井道夫、小寺義隆、出口敦、山本一成、佐藤三代子、高橋護、上田忠典の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  上田忠典の検察官に対する供述調書

一  検察事務官作成の報告書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(検察官請求番号七ないし一一、一三、一五、一七、二〇、二二ないし二四、二八ないし三〇、三二、三四ないし三六)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の証明書(前同三)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(前同一二、一四、一八、一九、二一)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の証明書(前同四)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(前同一六、二五ないし二七、三一、三三)

(法令の適用)

被告人の判示各所為は所得税法二三八条一項に該当するが、いずれも所定刑中懲役及び罰金の併科を選択することとし、なお情状により、同条二項を適用して、右の各罰金額はその免れた所得税の額以下とし、以上は平成七年法律第九一号による刑法の一部を改正する法律附則二条一項により改正前の刑法四五条前段の併合罪なので、懲役刑については、同法四七条本文、一〇条により、重い判示第一の罪の刑に法定の加重をし、罰金については、同法四八条二項により各罪の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年六月及び罰金三五〇〇万円に処し、右の罰金を完納することができないときは、同法一八条を適用して、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(出席検察官)室田源太郎

(出席弁護人)谷宜憲

(裁判官 田中正人)

別紙1

修正損益計算書

〈省略〉

別紙2

修正損益計算書

〈省略〉

別紙3

税額計算書

〈省略〉

別紙4

税額計算書

〈省略〉

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